[技術者のひとこと] DC/DCコンバータとレギュレータ
今回は、DC/DCコンバータとレギュレータの違いを紹介します。
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簡単に表にすると…
こんな感じ。個人的主観ではありますが…。
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ちなみに、レギュレータとLDOはちょっと違います。
LDOはLow Drop Out regulatorの略で、入出力電位差が小さいレギュレータを
指します。主に0.5V前後の電位差で動作が可能なものですね。
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さて、DC/DCコンバータとレギュレータの差は何でしょうか?
上の表を見て貰えばだいたいは解ると思いますが、大電力にはDC/DCコンバータ、
小電力にはレギュレータを使うのがお勧めです。
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DC/DCコンバータのメリットは大電力が取り出せるのと、変換効率が良いので、
発熱が少ない点です。
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動作原理は
こんな感じ。
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6Vから3.3Vを作る際は、ON(出力)、OFF(停止)を繰り返し、外付け
のLPFで、平滑(主にはLとCのLPF)して希望の電圧を取り出します。
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DC/DCコンバータは、出力電圧を常に監視しており、変化に応じてON/OFFする
比率を変えて、出力電圧を維持します。
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つまり、必要な時間以外はOFFしているため、電力的に効率が高いのがメリットです。
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ただし、部品点数が少々多いのと、ON/OFFの周波数が低め(数百KHz~数MHz)
な為、これに近い周波数で動作しているものに影響を出す事もあります。
(たとえば、映像系のものとか)
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変ってレギュレータ(LDO)ですが、まずは周辺回路が圧倒的シンプルということです。
最低3つでOK。
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たとえば、新日本無線のNJM2888シリーズ。
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更に、DC/DCコンバータと比較して、出力の誤差が非常に小さい点もあります。
一般的なものでも、±2%程度の誤差しか出ません。
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また、DC/DCコンバータと比べ、電圧をコントロールする速さが圧倒的に早い
ので、ノイズに強いという点もあります。
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ただし、大きなデメリットもあります。
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DC/DCコンバータと違って、入力の電圧を内蔵しているトランジスタのON抵抗
を変えることにより希望の電圧を出力しているため、入力と出力の電位差が大きい
とその差分が全て熱に変わってしまいます。(つまり熱い)
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計算式としては、(Vin-Vout)☓Iout で算出される電力が全て熱に変わります。
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Vin=6V、Vout=3.3V、Iout=100mAの場合、
(6V-3.3V)☓100mA=270mW が熱(捨て電力)になります。
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消費する電力が3.3V☓100mA=330mWですから、ほぼ同じ電力が熱に変ってる
ということになります。
(電源の大元から見た場合、6V☓100mA=600mWの負荷になります。)
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レギュレータを始め、ICには許容熱損失(PD値)と言うものがありますので、これを
超えない電力に収める必要があります。
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結論としては、
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大電力(500mAを超えるような系統)には、DC/DCコンバータ。
小電力(100mA以下)には、レギュレータ。
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というような使い方をお勧めします。
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それではみなさま、良いお年を。
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