[技術者のひとこと] 赤外線カメラと普通のカメラの違い
最近、赤外線カメラとかIRカメラとかこういった名前をよく聞くように
なりました。
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左が普通のカメラ、右が赤外線(IR)カメラです。
大きさは置いといて、見た目にはほとんど解りません。
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さて、この2つ、何が違うのでしょうか?
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ハードウェアもソフトウェアも厳密に言わなければほとんど
差はありません。徹底的に違うのは、レンズについている
光学フィルターです。
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レンズを裏から見た写真ですが、赤っぽく見えるガラスが
解りますでしょうか?
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これが、赤外線(IR)カットフィルターと呼ばれるもので、
自然光に含まれる赤外線より波長が長い光をカットする
フィルターです。
(光の反射とレンズのコーティングで赤っぽく見えますが、
実際は青色です。)
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なんでカットする必要があるのかは、これから。
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人間の目には可視光と呼ばれる、目に見える光の波長
範囲があります。
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だいたい、400nm~750nmぐらいの範囲です。
400nm辺りの光は青く、750nm辺りの光は赤く見えます。
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イメージセンサーは、可視光の範囲を超えて、光を電気信号に
変えてしまうため、適切にカットしないと、人間が見ている色と違った
色になってしまいます。
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まあ、簡単に言うと、人間が緑と思っている物は、人間がそう
見えているだけで、実際には違う色に見えている動物も居る
という事です。
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ちょっと実験
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赤外線カメラで室内で撮影します。
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まあ、緑は緑に写ります。
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外で取ってみます。
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枯れた葉っぱ?
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いえ、違います。本物は青々としています。
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室内だと、ちゃんと緑に映るのに、屋外だと何故、おかしく
なるでしょう?
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答えは簡単。室内は蛍光灯の光なので、赤外線はほとんど
含まれません。(ほとんどは可視光の光だけ)
変わって屋外は太陽光なので、思いっきり赤外線が含まれます。
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つまり、人間が見える範囲以上の光をセンサーが電気信号に
変えてしまっているためです。
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熱を感じる光が赤外が含まれていると考えて下さい。
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太陽とか、白熱電球とかめちゃくちゃ熱いですよね?
あれは赤外線が含まれて居るからです。
こたつも一緒。
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さて、ここで、IRカットフィルターの登場。
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良いSampleが手元になかったので、適当に…。
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ちょっと見えにくいですが、青いガラスの下にあるグラフ・
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光が透過する範囲を示して居ます。
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これによると、400~650nmになりますね。
ほぼ、人間の可視光の範囲です。
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これを付けてみると…
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はい、ちゃんと緑になりました。
(右側に見える白っぽいのは私の指です。ガラスをレンズに
押し当ててました。ごめんなさい。)
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つまり、カメラも人間が見える範囲の光だけにしないと色が
まともに出せなくなってしまいうんですねー。
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テレビで、よく真っ暗な映像が緑一色とか白黒で出ているのを見たこと
無いですか?
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あれ、色がまともに出ないので、わざとあのようにしてるんです。
知ってましたか?
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ちょっと長くなったので、一旦これで。